ハイエースより気持ち大きめのバスで揺られること約4時間。パズドラを片手にミンミンと蝉の声が聞こえてくる2011年の真夏にやってきたのは秋田県田沢湖付近の合宿所。
これから3泊4日のバスケットボール合同合宿が始まる。
2日目1試合目中盤くらいからだろうか。ガヤガヤとしていた周りがヤケに静かに感じた。何も聞こえないのではなく聞きたい音だけが聞こえるこの感じ。
的確なアシストパスにボールを持った瞬間を狙ったスティール。3Pシュートは大きな弧を描きネットを揺らした。息をするごとに周りの状況まで正確に見えてしまう。
「あの12番!12番にボールを持たせるな!!」
相手チームの監督の声がわずかに聞こえた。今思うと黒子のバスケでいうところの「ゾーン」的なものだったのだろう。
あれから幾年が経ち、おじさんのイラストを描いている時や手芸をしている時。時を忘れるほどに。
そんな感覚。そんなモノ。